本研究は,医療安全文化の醸成に効果的な組織安全研修体制を検討することを目的とした。対象施設は,某県下200床以上の病院20施設(地域カバー率:67%)の協力を得て,自記式質問票により看護職者1,475名から回答を得た(回収率81.4%)。アウトカムの測定には信頼性・妥当性が検証され看護の安全文化が測定できる医療安全文化尺度(PSCS)を用いた。傾向スコアによるロジスティック回帰分析を行った結果,研修会未受講に比べ,各安全文化要因に対する体験型研修の調整済オッズ比は1.90~2.78であった。多様な研修を組み合わせた体験型研修の導入は安全文化の醸成に寄与することが示された。(表3)