2014 年 90 巻 6 号 p. 209-220
化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)が2003年に国連勧告として発行された。その後多くの国々がこれの実施に取り組んでいるが,その時期や適用範囲は国によって異なる。フィリピン,マレーシアおよび日本での労働分野におけるGHSの実施状況を欧州連合および米国と比較した。調査,分析した内容は,所管官庁,適用法令,導入時期,罰則,分類対象化学品,適用除外項目などである。GHSの実施方法は国によって異なり,既存の法令に大きく左右されることが明らかになった。GHSは強制力を持たない勧告であり,適用にも柔軟性が認められていることがその理由として挙げられる。本調査結果は今後GHSを実施する国々に有益な情報になると考える。(図1,表1)