抄録
日本は世界的にも稀にみる老舗大国であり、その経済的、社会的価値は大きい。一方、継承者の不在により、家業としての存続が危うい事例も多々みられる。そこで、本論では、家業の存続に関わらず、老舗ブランドの価値を持続可能にする経営モデルを明らかにすることを目的とした。まず、既存文献や調査データ等の整理・分析を通じて、老舗経営の現状を把握し、その経営課題を把握し、関連概念の整理を行った。そうした論考に基づき、「歴史の発掘と編纂、地域表示と発信、事業内容転換への対応、商号と商標の管理、家業と無形資産の継承」という5つの論点を抽出した。その上で、18社の老舗経営者インタビューと現地調査に基づき5つの論点の詳細とその関連性を考察した。その結果、老舗ブランドの持続可能性に資するには、「伝承」の「継承」化、前近代的な商習慣からの脱却、知財管理も含めた近代的なブランドマネジメントの導入、さらに、老舗ならではの強みを発信することでより高い付加価値をとっていくことが重要であると結論づけた。