抄録
本研究では、イネーブリングPMSが職務パフォーマンスに与える影響のメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、(1)イネーブリングPMSとマネジャーの職務パフォーマンスとの関係におけるプロアクティブ行動の媒介効果、及び(2)イネーブリングPMSとプロアクティブ行動の関係における階層的説明責任プロセスにおける上位者と下位者のコミュニケーションの調整効果を実証的に検討する。日本の企業で働くミドルマネジャー500名を対象とした調査を実施し、階層的重回帰分析によりデータを分析した。分析の結果、プロアクティブ行動が、イネーブリングPMSと職務パフォーマンスの関係に対する媒介要因として重要な役割を果たすことが明らかとなった。加えて、階層的説明責任プロセスにおいて上位者と下位者間のコミュニケーションが密になされているほど、イネーブリングPMSがプロアクティブ行動を促進する効果が強くなることが示唆された。