2016 年 16 巻 p. 51-57
戦後の紛争において、和平協定の締結は大きな分岐点であり、その後の平和構築の内容を決定づけるものでもあった。しかし、政治力において力の差をもつ少数民族側にとっては、和平協定の内容の是非やその実施の可能性をめぐって、多くのリスクと脆弱性を含むものである。どのような脆弱性が考えられるか、バングラデシュ、チッタゴン丘陵の紛争を例にとって考えていく。また、和平協定の実現性や持続性を確保し、それを高めるためにも、交渉者の選定、交渉経過の情報公開、一般市民の参加のあり方、第三者の関与のあり方などを成功例などをもとに考え、強化していくことは重要であり、国際機関、NGOの役割でもある。いくつかの研究を紹介しながら、そのあり方を検証する。