国際協力NGOが取り組む開発教育についての一考察

－その課題と展望－

抄録

　本稿の目的は、国際協力NGOが開発教育に取り組む際の課題や制約とこれらを克服するための有効な方策を明らかにすることである。調査方法は、開発教育に積極的に取り組んでいる6団体の国際協力NGOの開発教育担当者に対するインタビュー調査とこれらの団体が開発した教材や学習プログラムの分析である。調査結果は、国際協力NGOは開発教育事業を実施する上で、開発教育事業のための資金確保、教材開発能力の不足、教材の普及の困難さ、実践の質の確保と開発教育事業の評価という相互関連性の高い4つの課題を抱えていることを明らかにした。そしてこれらの課題を克服するためにこれらの団体が取り組んでいる様々な有効策を明らかにした。そして課題や制約を抱えながらも団体の活動方針に開発教育を位置づけ、開発教育を推進するための有効策に取り組んでいる団体は、「公正な社会を実現する」、「開発途上国と日本社会をつなぐ」という共通した使命を有しているとの知見を示した。