映像情報メディア学会誌
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特集論文
MER重み付けMMSEマクロダイバーシティ受信装置
光山 和彦居相 直彦
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2014 年 68 巻 5 号 p. J178-J183

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抄録

マラソンや駅伝などの移動中継を,SHF帯の電波を用いた場合でも高い回線信頼性で実現するマクロダイバーシティ受信システムを提案している.提案システムでは,広い伝送エリアを確保するため,各受信アンテナを地理的に離れた複数の基地局に分散して設置する,もしくは同じ基地局で利得の高い複数の指向性アンテナをそれぞれ異なる方向に向けて設置する運用形態が想定される.この場合,送信局から各受信アンテナまでの伝搬環境が本質的に異なるため,受信品質の良好なブランチと,受信電力や受信CNRは大きいが,シンボル間干渉の原因となるガードインターバル長を超える遅延波を受信するブランチが混在する伝搬路条件が存在し,従来システムでは信号合成後の受信特性が劣化する課題があった.本論文では,OFDM-FPUの送信信号に挿入されているDBPSK変調されたTMCCキャリアを用いて各ブランチの変調誤差比を測定し,その平方根を重み付け係数として各ブランチの受信信号とチャネル推定値に乗算することで,従来方式で課題であった伝搬路条件でも信号合成後に良好な受信特性を得られる補正方式を提案する.提案方式を既存のマクロダイバーシティ受信装置に実装し,フェージングシミュレータを用いた評価実験や,実際のロードレース中継コースで取得した受信信号データを用いた評価実験を実施した結果,従来方式で受信特性が劣化する伝搬路条件でも,提案方式では大きく改善できることを確認した.

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© 2014 一般社団法人 映像情報メディア学会
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