2017 年 71 巻 1 号 p. J20-J27
テレビ画面に表示された空間があたかも画面手前の現実空間とつながっているように見えることをゴールとする表現システム“Augmented TV”を開発した.開発したシステムでは, AR技術を応用し, スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の内蔵カメラでテレビを撮影しながら見ると,テレビ画面からキャラクタが飛び出てくるように見える演出が可能である.要素技術として再生時刻を図形として表示することを特徴とする同期方式と,携帯端末内蔵のジャイロセンサと画像処理を併用するテレビ画面の位置・姿勢推定方式を開発した.両方式ともにテレビと携帯端末の間で通信が不要であり,ネットワーク設定などをせずに利用することができるため,放送に限らずディジタルサイネージなど幅広い応用が可能である.市販のタブレットを用いて実装し,試作したコンテンツを用いてデモ展示を行い,開発したシステムの有効性を確かめた.