主催: 一般社団法人映像情報メディア学会
変奏曲とは,主題とよばれる簡単な旋律と主題を様々に変化させた変奏からなるクラシック音楽の楽曲形式の一つである.変奏曲を理解する際には,主題がどのように変化しているかを把握することが重要であるが,楽器経験者でも楽譜や音源のみから主題の変化の様子を読み取ることは困難である.そこで本研究では,楽器の演奏者や,音楽は聴くが演奏経験はないといった音楽愛好家に対して,変奏曲の構造を可視化するシステムを開発した.本システムは,入力をMIDIデータとし,3次元空間にオブジェクトを配置することで可視化する.その際,用いられている変奏様式によりオブジェクトの色や形状を変化させることでどのような変奏がなされてかを表現している.また,ユーザがより変奏曲の構造を理解しやすくするよう対話的視覚情報探索機能を提供する.システムの性能を評価するにあたり,マッピングのわかりやすさ,楽譜と本システムを用いた際の変奏曲の理解度についての実験を行い,本システムが変奏曲の構造理解に有効であることが示された.