岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
原著
心拍動下冠動脈バイパス術においてhydroxyethyl starch 70/0.5の代わりにhydroxyethyl starch 130/0.4を用いた輸液管理は,血液製剤投与必要性を低下させる
佐藤 美浩 小林 隆史本郷 修平鈴木 健二
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2018 年 70 巻 1 号 p. 13-25

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抄録

本邦にて2013年10月,第3世代人工膠質液hydroxyethyl starch (HES) 130/0.4が使用可能となり,これまでのHES 70/0.5と比較して,より高用量の投与が可能となった.今回我々はHES 70/0.5の代わりにHES 130/0.4を用いた輸液管理が,術中の血液製剤投与必要性に及ぼした影響を,後ろ向きに調査した.対象は2012年10月から2014年12月の間に,岩手医科大学附属病院で心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)が施行された患者とした.同病院でHES 130/0.4が採用される以前にHES 70/0.5が投与された患者(HES 70/0.5群)と,HES 130/0.4が投与された患者(HES 130/0.4群)について,患者背景,術中水分バランス,輸血およびアルブミン製剤投与必要性そして術後経過を比較した.結果は,術中の輸血およびアルブミン製剤使用量と使用頻度および術中水分バランスがHES 130/0.4群において低下した.術後経過に有意な差は認められなかった.結論として,OPCABにおけるHES 70/0.5の代わりにHES 130/0.4を用いた輸液管理は,術中水分バランスを減少させ,術中の血液製剤使用量および使用頻度を減少させた.

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© 2018 岩手医学会
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