岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
原著
新生児集中治療室における18トリソミーへの対応
鳥谷 由貴子 松本 敦吉田 太郎伊藤 歩惟土屋 繁国高清水 奈央小西 雄外舘 玄一朗小山 耕太郎
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2018 年 70 巻 3 号 p. 101-106

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抄録

過去10年間の当院新生児集中治療室における18トリソミー児15例の周産期歴,治療方針,予後について検討し,当院での現状を示した.13例が出生前に18トリソミーの可能性を指摘されていた.在胎週数の中央値は39.1週で,出生体重の中央値は1,887gであった.全例に先天性心疾患を合併し,3例に先天性消化器疾患に対する外科的治療が行われた.自宅退院したのは1例のみであり,11例が新生児集中治療室で死亡していた.生存期間の延長に,非侵襲的・侵襲的陽圧換気の使用と無輸血であることが関連していた. 18トリソミーは多彩な心・消化器合併症と中枢性無呼吸発作,重度の精神運動発達遅滞を伴い,1年生存率は10%前後とされているが,積極的な治療介入によって生存期間が延長される児がいることがわかってきた.しかし,合併症の重症度によって児の予測される予後や可能な治療の選択肢は異なるため,症例に応じた対応が必要である.

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© 2018 岩手医学会
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