2018 年 70 巻 5 号 p. 165-171
胃瘻チューブは定期的な交換が必要なため,胃瘻チューブ交換時の瘻孔損傷が散見されるようになった.本研究は胃瘻チューブ交換の前に瘻孔損傷のリスク因子を解明することを目的とした.日本のある病院での5年間の外来での胃瘻チューブ交換を集計することができた.患者の人口統計,現病歴,既往歴,栄養状態,交換時に用いたチューブや交換方法,および交換までの期間を収集した.成人328人に対し,1,279件の胃瘻チューブ交換を行っていた.瘻孔損傷は10例(0.78%)認め,全例,初回交換時に瘻孔損傷が発生していた.同施設にて胃瘻造設し,初回のチューブ交換を行った46例を再度集計した.瘻孔損傷は7例(15.2%)認めた.そのうち糖尿病の既往は5例認め,p‹0.05で有意差が認められた.胃瘻チューブ交換の際には,瘻孔損傷が稀に起こり,安全な胃瘻チューブ交換を可能にするためには初回交換かどうかと既往に糖尿病があるかを確認することが大切である.