岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
研究
採卵当日の血清progesterone 値と体外受精の妊娠成績について
池田 真妃 尾上 洋樹熊谷  仁馬場  長
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 71 巻 2 号 p. 61-67

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抄録

体外受精(in vitro fertilizatio; IVF)採卵周期におけるpremature luteinization(PL)は新鮮胚移植の妊娠率を低下させる.human chorionic gonadotropin(hCG) 投与日の血清progesterone値[P4(hCG)]をPLの指標とし,新鮮胚移植の妊娠率を予測する試みがあるが,実臨床ではhCG投与日の測定は容易ではない.そこで,採卵当日の血清P4値[P(Oocyte Pick Up; OPU)]と妊娠成績との関係について検討した.2012年2月から2017年10月の間にgonadotropin releasing hormone agonist法を用いconventional IVFを施行した152症例230周期を対象とした.本研究ではP4(OPU)と血清estradiol値,採卵数,2 prenuclear 発生率,P4(OPU)と妊娠の関係について検討した.その結果,P4(OPU)が12 ng/ml未満の群の新鮮胚移植における妊娠率は18.1%,12 ng/ml以上の群の妊娠率は6.3%と10%以上の差を認めた.一方,凍結解凍胚移植ではP4(OPU)の高低による妊娠率には差を認めなかった.P4(hCG)でも同様の結果が得られており,P4(OPU)は「受精卵の質」ではなく,「子宮内膜への作用」を反映する指標として新鮮胚移植の可否を判断し得ることが示唆された.

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© 2019 岩手医学会
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