岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
研究
高血圧症患者におけるアジルサルタンによる脳小血管病の進行抑制効果の検討
伊藤 浩平鳴海 新介 山下 典生鈴木 隆史宮澤 晴奈名取 達徳佐々木 真理寺山 靖夫
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 71 巻 4 号 p. 127-138

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抄録

近年,血圧日内変動の異常が脳小血管病のリスクであることが報告されている.そこで、血圧日内変動正常化作用を持つ新規angiotensin II receptor blocker (ARB)アジルサルタンが,従来のARBと比し脳小血管病の進行抑制に有効か前向きに検討した. 高血圧で従来のARB内服中の患者を対象に,登録時にMRIと24時間自由行動下血圧測定を施行,6ヵ月後にアジルサルタンへの変更群と従来ARB継続群に割り付け,18ヵ月後にMRIと自由行動下血圧測定を再施行し,変更群と継続群におけるラクナ梗塞,微小出血,白質病変の変化を比較した. 104例中71例が解析対象となった.変更群では継続群と比し平均収縮期・拡張期血圧の有意な低下と血圧日内変動の有意な正常化を認めたが(p <0.05),脳小血管病の経時的変化に差を認めなかった.しかし,18ヵ月後血圧日内変動正常例では,白質病変体積の増加が有意に抑制された(p <0.05). 今回の検討では,アジルサルタンによる脳小血管病の進行抑制は認めなかった.

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© 2019 岩手医学会
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