岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
Case Report
fibroblast growth factor 23産生腫瘍による腫瘍性骨軟化症の1例
多田 広志 三又 義訓室岡 玄洋西田  淳土井田 稔佐藤  孝
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2021 年 72 巻 Supplement 号 p. 305-309

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抄録

腫瘍性骨軟化症は腫瘍によるfibroblast growth factor 23(FGF23)の過剰産生が低リン血症性骨軟化症を引き起こす稀な疾患である.今回,大腿部軟部腫瘍が原因で骨軟化症をきたした症例の治療を経験したので報告する.41歳男性.約1年前から背部痛と身長の短縮を認めた.低リン血症性骨軟化症で当院へ紹介になった.MIBIシンチグラフィーにて右大腿部に集積を認めた.静脈サンプリングでは右大腿近位部でFGF23が高値であった.MRIにて大腿動脈に接する15 × 10 mmの腫瘍性病変を認めた.以上より大腿部軟部腫瘍による腫瘍性骨軟化症と診断し,手術をおこなった.病理組織はhemangiopericytoma様の所見を示していた.血中FGF23が高値を示していたことからは,phosphaturic mesenchymal tumorと診断した.術後FGF23の値は30分で半減したが,血中カルシウムとリンの値は大きな変動を示すことはなかった.

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© 2021 岩手医学会
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