2021 年 73 巻 3 号 p. 117-126
成人脊柱変形(ASD)患者に対する脊椎固定術は脊椎アライメントが矯正される一方で,脊椎固定術後は脊柱起立筋が萎縮することが報告されている.しかし,その筋線維組成の変化は不明である.本研究の目的は脊椎固定術後のASD患者と同年齢の健常者の脊柱起立筋の違いを評価することである.ASD術後女性13名(ASD群)と同年代の健常女性7名(コントロール群)に等尺性体幹伸展最大随意収縮力測定とTrunk holding testを実施した.Trunk holding test中の筋活動を表面筋電図で計測し,記録した干渉波形に対して周波数パワースペクトル解析を行い,周波数中央値の傾きを算出した.ASD群のMVCはコントロール群より有意に低かった.周波数中央値の傾きは両者間に有意差がなかった.本研究の結果はASD術後患者の脊柱起立筋は筋力が低下しても各筋線維タイプの相対的な面積は変化しないことを示唆する.