岩手医学雑誌
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Print ISSN : 0021-3284
Case Report
胃内ポリ塩化ビニル手袋変性塊を開腹除去した精神遅滞児
高橋  学阿部 志津香伊藤 歩惟塩畑  健 和田 泰格石川  健小山 耕太郎小林 めぐみ
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2021 年 73 巻 3 号 p. 127-131

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抄録

異食は,認知症患者や精神遅滞の児にみられることが多く,目撃情報が無い場合には診断は難しい. 11歳の女児.精神遅滞があり, 児童養護施設に入所している.便中に紐等がみられ, 施設職員は患者の異物摂取に注意をしていた. 嘔吐と間欠的腹痛を訴え近医を受診し, 腹部単純X線写真で胃内異物を疑われ紹介となった.腹部CT検査では含気のある塊状物を胃内に認めた.上部消化管内視鏡検査で,重合一塊となったポリ塩化ビニル手袋が観察され辺縁は鋭利であった.内視鏡的摘出は困難と判断し,開腹・腹腔鏡補助下に異物除去術を行った. 精神遅滞の児では異食の頻度が高く,問診等から異食が疑われる場合には,腹部CT検査による異物の局在確認と,上部消化管内視鏡検査による性状確認が有用である.しかし,異食された異物のなかには,消化管内で変性・硬化するものもあり,その摘出には注意を要する.特に,ポリ塩化ビニル手袋では開腹除去を選択すべきである.

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© 2021 岩手医学会
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