岩手医学雑誌
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Print ISSN : 0021-3284
Case Report
若年者の高度大動脈人工弁周囲逆流に経カテーテル的閉鎖術を施行した1例
登坂 憲吾 中島 祥文森野 禎浩
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 73 巻 3 号 p. 133-138

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抄録

2度の大動脈弁の手術歴のある20歳代男性が易疲労感を認めた.心不全症状の進行を認め,経胸壁心臓超音波検査で人工弁の高度人工弁周囲逆流(PVL)によるものと判断された.2度にわたる手術歴があり,閉鎖栓による経カテーテル的閉鎖術を施行する方針とした.PVLの解剖学的評価は経食道心臓超音波検査と心臓コンピューター断層撮影検査で施行し,閉鎖に適した形状と大きさを確認した.人工弁と大動脈弁壁の間に7×3 mmの楕円形の欠損孔を認めた.残存リークを抑えるために両側の大腿動脈アプローチで,放射線透視と経食道心臓超音波下で8 mmのAmplatzer vascular plug II(Abbott社,シカゴ,アメリカ)を2個並べて同時に移植した.移植後には逆流が減少し,周術期合併症は認めなかった.術後1年に症状の改善と心臓超音波検査でPVLの改善を認めた.繰り返す開胸歴のある患者のPVLに経カテーテル的閉鎖術が有用であった症例を経験したので報告する.

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© 2021 岩手医学会
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