抄録
頭頸部癌に対する遊離皮弁移植手術は長時間かつ高侵襲のため,麻酔管理は困難となる.
手術の成功には皮弁血流の維持が重要となるが,術後に皮弁血流の循環不良が起こる場合がある.術後低血圧は皮弁血流不良の原因になると仮説を立て,その予測因子と皮弁合併症頻度について診療録を用いた後方視的調査を行った.
遊離皮弁手術を受けた頭頸部癌患者を対象に術後低血圧発症(収縮期血圧90mmHg未満)の有無で術後低血圧群46例,非低血圧群36例に分けて,患者背景,麻酔管理,集中治療管理,検査データ,術後合併症頻度について群間比較を行った.
両群で皮弁壊死の頻度に有意差は無かったが,低血圧群は術中水分バランス,術後皮弁血流不良と全身性炎症反応症候群の発症頻度,循環作動薬必要量が有意に多い結果となった.
本研究結果より,術後低血圧は手術中から起こる強い炎症に由来し,皮弁血流不良の原因となることが示唆された.