1987 年 12 巻 1 号 p. 84-88
舌尖部に生じた血管筋腫の1例を報告した。症例は53歳の男性で, 約20年前から舌尖部の腫瘤を自覚していた。一般に口腔領域の血管筋腫はロ蓋と口唇に好発するとされており, 舌に生じたものとしては本報告例が本邦では第2例目であった。光顕的には複雑に錯走する平滑筋細胞の増生からなり, そのなかに壁の肥厚した静脈様の血管が散見された。超微構造的には増生した平滑筋細胞と混在して未分化な細胞ならびに未分化な細胞と平滑筋細胞との移行型と思われる細胞が観察された。この様な所見は血管筋腫が未分化間葉細胞に由来することを示唆するものと考えられた。