岩手医科大学歯学雑誌
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原著
ヒト下顎骨骨塩量と咬合力そして咬合接触面積との関連
小豆島 正典中野 廣一久保田 宗次亀谷 哲也石川 富士郎斉藤 博樹坂巻 公男
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1996 年 21 巻 3 号 p. 215-222

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抄録

咀噌機能の活動性が, 顎顔面の発育に影響しているといういくつかの報告がある。我々は, これらの活動が, 顎顔面の形態学的計測値ばかりでなく, 下顎骨の骨塩量 (BMC) にも影響しているだろうと考えた。本研究では, 咀噌機能のパラメーターとして最大咬合力と咬合接触面積を測定し, これらの値と下顎骨BMCとの関連性を調査した。本研究に用いた被験者は, 46名の成人 (平均年齢23歳7ヵ月) からなる。下顎骨BMC は, デンタルフィルムを用いたX線写真濃度測定法にて求め, BMC のパラメーターとして被写体コントラストを測定した。咬合力と咬合接触面積は, 歯科用圧力感応シートにより求 めた。 被写体コントラストと咬合力あるいは咬合接触面積とには負の相関が認められ, その相関係数はそれぞれ -0.378 (p<0.01) と -0.401(p〈0.01) であり, BMC の増大は咬合力と咬合接触面積の増大を伴うことがわかった。以上の成績より,咀噌機能の活動性は, 従来より報告されている顎顔面の形態学的計測値への影響の他, 骨そのものの丈夫さにも影響してい ることが示唆された。

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1996 岩手医科大学歯学会
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