岩手医科大学歯学雑誌
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研究
ヒト顎顔面形態と咬筋の厚さ, 咬合力, 咬合接触面積との関連
久保田 宗次中野 廣一佐藤 和朗亀谷 哲也石川 富士郎小豆島 正典坂巻 公男
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1998 年 23 巻 1 号 p. 16-26

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抄録

多くの研究者は, 咀囑システムにおける機能が顎顔面の形態に強い影響を及ぼしていると指摘してきた。本研究は,咬筋の厚さや咬合力, 咬合接触面積に代表される咀噌機能と顎顔面形態との関係を調べることを目的とした。

本研究における被験者は, 平均年齢24歳5か月 (S.D.±1歳3か月) の31名の男子からなる。 顎顔面形態は通法の頭部X線規格写真計測法から求め,咬筋の厚さは超音波画像から計測した。 また, 咬合力の計測には感圧フィルムとストレインゲージを用い, 咬合接触面積の計測には感圧フィルムを用いた。

得られた結果は以下の通り:

1. 咬筋の厚さは, SNA, 下顎枝傾斜角, 下顎枝高,皮質骨の厚さと正の相関を示し, 下顎下縁平面角と負の相関を示した。

2. 咬合力と咬合接触面積は, 下顎枝傾斜角, 下顎枝高, 皮質骨の厚さと正の相関を示し, 下顎下縁平面角と負の相関を示した。

以上のことから, 咀噌機能は顎顔面形態, 特に下顎骨の形態に影響を及ぼすことが示された。 強い咀囎機能を持つ者は, 下顎下縁平面が平坦で, 下顎角が小さく, 厚い下顎底部の皮質骨を有していた。

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1998 岩手医科大学歯学会
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