岩手医科大学歯学雑誌
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症例
チタンメッシュトレーとPCBMによる下顎骨再建を施行した類腱型エナメル上皮腫の1例
川村 貴史千葉 卓八木 正篤古城 慎太郎瀬川 清水城 春美三上 俊成佐藤 泰生武田 泰典
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2011 年 36 巻 1 号 p. 65-70

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抄録

類腱型のエナメル上皮腫(desmoplastic ameloblastoma:DA)は,エナメル上皮腫の一亜型で,豊富な膠原線維の増生からなる間質と石鹸泡状のエックス線透過像を特徴とする.DAは,X線学的に境界不明瞭で,腫瘍周囲の被膜がないため切除範囲の設定が困難で,典型的なエナメル上皮腫と比較して,再発の割合が高いと考えられている.2006年9月,58歳の男性が,下顎右側臼歯部歯肉の腫脹と顎骨の膨隆にて近医より当科を紹介受診した.画像所見において,腫瘍の境界は不明瞭で,腫瘍は下顎骨下縁にまで及んでいた.生検の結果,組織学的に類腱型のエナメル上皮腫と診断された.下顎区域切除術ならびにチタンメッシュトレーと腸骨からのPCBMによる下顎骨再建を施行した.術後4年経過した現在,再発はみられていない.

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2011 岩手医科大学歯学会
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