岩手医科大学歯学雑誌
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原著
口腔内スキャナーを使用したインプラント上部構造の観察
福徳 暁宏
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2018 年 43 巻 1 号 p. 74-82

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抄録

目的:本研究においては,歯科用口腔内スキャナーを用いてインプラント上部構造と対合歯に生じる咬耗を定量的に調べることを目的とした.

材料と方法:本研究の趣旨に賛同し、同意を得られた30 名の患者を対象とした.測定対象歯は第一大臼歯とし,インプラント最終上部構造を装着時および3か月経過時に歯科用口腔内スキャナー(3M true definition scanner, 3M, St. Paul, MN, USA)でインプラント上部構造およびその対合歯を撮影した.撮影したデータはSTL ファイルとして出力し,画像計測ソフト(GOM Inspect, GOM, Brunswick, Germany)を使用して2つのデータを比較した.第一大臼歯機能咬頭の3か月間の咬耗量を算出し,上部構造の材質,性別,固定様式別にそれぞれの咬耗量を比較,検討した.統計解析は統計解析ソフト(IBM SPSS 24, IBM, Armonk, NY, USA)を使用して行い,有意水準は5%とした.

結果:インプラント上部構造の咬耗量は,モノリシックジルコニア(Zr)で76 ± 30 ㎛,ハイブリッド型コンポジットレジン(HC)で71 ± 27 ㎛であった.両者に統計学的有意な差はみられなかった. 一方,対合歯の咬耗量はZr の対合歯で59 ± 25 ㎛,HC の対合歯で60 ± 20 ㎛であり,こちらも統計学的有意な差はみられなかった.また,男性の上部構造咬耗量は女性より有意に大きい値を示した(p<0.05)が,上部構造の固定様式(セメント,スクリュー)による差はみられなかった.さらに,対合歯がインプラント,天然歯どちらの場合にも,上部構造の咬耗量に差はみられなかった.

結論:口腔内スキャナーを用いた咬耗量の計測は,十分な精度を有していることが明らかとなり,インプラント上部構造の形態変化の経過観察に有用なシステムであることが示唆された.インプラント上部構造と対合歯の咬耗量に関して,適切に咬合調整,研磨されたZr とHC に違いはみられず,Zr もインプラントの上部構造として適用できることが示唆された.また,男女の咬耗量に差がみられたことから,咬合力が上部構造の咬耗量に大きく関与していると考えられた.

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2018 岩手医科大学歯学会
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