岩手医科大学歯学雑誌
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原著
ラット切歯の完全破折後にみられたエナメル質形成異常について
金子 良司黒田 雅行大塚 幸夫渡辺 匡佐藤 香穂子武田 泰典鈴木 鍾美
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1984 年 9 巻 2 号 p. 70-75

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抄録

形成中の歯牙に対する外傷の影響を検索するために, エーテル麻酔下でWistar系ラットの両側下顎切歯を残根鉗子にて, ほぼ歯肉頂の高さで唇舌方向に力を加え鈍的に完全破折した。その後3日目, 4日目, 5日目, 7日目および10日目のエナメル質とエナメル芽細胞の形態変化を病理組織学的に検索した。その結果, エナメル質形成異常は実験例24歯中3歯(それぞれ5日目, 7日目, 10日目)にみられた。

これらのエナメル質形成異常は根端側付近に生じており, この部におけるエナメル芽細胞の配列が著しく乱れていた。このようなエナメル質形成異常は対照群の同部位, ならびにエナメル質形成異常後に形成されたエナメル質にはみられなかった。以上より, このエナメル質形成異常は外傷が介達的に根端側へ作用したためと考えられた。

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1984 岩手医科大学歯学会
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