日本救急医学会関東地方会雑誌
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Print ISSN : 0287-301X
症例報告
黄色ブドウ球菌を起因菌とする急性胆囊炎の一例
伊藤 達哉弦切 純也長田 雄大星合 朗櫻井 将継小西 浩之横森 良平小林 雄大新井 隆男
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2019 年 39 巻 3 号 p. 416-418

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抄録

背景 : 急性胆囊炎の起炎菌として黄色ブドウ球菌 (MSSA) は稀であるが, 血行性移行などにより感染が成立することがある。症例 : 82歳女性。数カ月前より肝臓や腰椎に原発不明の転移腫瘍が発見され近医で精査中。当日, 意識障害とショックで救急搬送された。腹部CTにて胆囊の腫大と壁肥厚があるものの腹部の圧痛やMurphy徴候は不明瞭であった。翌日血液培養でグラム陽性球菌が陽性となった。第3病日に経皮胆囊ドレナージを施行したところ膿性胆汁が排出され全身状態が改善した。血液および胆汁培養ともに結果は黄色ブドウ球菌であった。考察・結論 : 急性胆囊炎の起炎菌として黄色ブドウ球菌の可能性は低いがゼロではない。したがって患者に胆囊炎を示唆する所見があるなら, 治療期を逸することなく, ドレナージを含めた適切な治療を考慮するべきと思われる。

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