日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
早期のVA-ECMO導入によって予後良好に救命できた広範型肺血栓塞栓症による来院後心肺停止の1例
小松 勇史朗本間 洋輔木村 隆治小川 敦裕石上 雄一郎沼田 賢治溝辺 倫子高橋 仁井上 哲也舩越 拓
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2020 年 41 巻 4 号 p. 415-417

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抄録

【背景】重症肺血栓塞栓症は致死的疾患であり早期介入が重要である。【症例】とくに既往のない58歳女性。長時間の自動車への乗車後, 玄関で倒れているところを発見され救急要請となった。来院時, ショックバイタルであった。身体所見, 心電図, 経胸壁心臓超音波検査から肺血栓塞栓症による閉塞性ショックを強く疑った。来院後20分で心肺停止となり直ちに二次心肺蘇生を開始しつつ, 静脈脱血-動脈送血膜型人工肺 (extracorporeal membrane oxygenation ; V-A ECMO) の導入を開始した。心肺停止から21分後で体外循環を確立し, 胸部造影CTで広範型肺血栓塞栓症の診断となった。診断後抗凝固療法を開始し, ICU管理となった。その後臨床経過は良好であり入院21日目に神経学的後遺症なく退院となった。【結語】病歴や身体診察, 心電図, 心臓超音波検査の所見を総合的に考え, 早期に肺血栓症を疑いVA-ECMO導入を開始したことが予後良好な救命につながったと考えられた。

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