日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
通常救急車による重症心不全患者の搬送における課題
高橋 充大井 康史白澤 彩山縣 英尋道下 貴弘伊巻 尚平竹内 一郎
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2021 年 42 巻 2 号 p. 56-60

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抄録

重症心不全患者は, 植え込み型左心補助人工心臓 (LVAD) の適応がある場合, 体外式膜型人工肺 (VA-ECMO) や大動脈内バルーンポンピング (IABP) などの補助循環を使用した状態で植え込み術実施可能施設に搬送を要する場合がある。補助循環を使用した重症患者の搬送には専用搬送車両や特殊救急車が多く使用される。重症患者の安全で迅速な搬送には, 重症患者搬送に特化したチームの育成が理想であるが, 搬送チームが存在しない状況では救急医に搬送を求められる場合がある。そのため救急医は常に対応できるように準備する必要がある。搬送に際し最小限かつ過不足なく, また急変も想定した物品を準備する必要があり, そのためにはトラブルも見据えた物品やマニュアルなども記載されたチェックリストを作成しておくことが有効である。また地域として重症患者の集約化を図り, 地域全体で重症患者搬送を支持するシステム構築も求められる。

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