2022 年 43 巻 4 号 p. 101-106
さまざまな患者が訪れる救急外来では, 搬送後に新型コロナウイルス感染症 (以下, COVID-19) が偶発的に判明し, 感染対策上問題となることがある。そこで, 救急外来で来院時にCOVID-19を強く疑っていない患者のうち, COVID-19に罹患している患者の割合を明らかにし, 感染対策の観点からどのように対応をしていくべきかを検討した。2020年5月26日~2021年10月31日の間に国立国際医療研究センター病院救急外来を受診し, 来院時にはCOVID-19を強く疑わなかった患者のうち, COVID-19の併発が判明した患者の診療録を後方視的に調査した。偶発的にCOVID-19が判明した患者は49名 (0.20%) であった。偶発的にCOVID-19が判明した患者のうち, 41名はCOVID-19の蓋然性を評価したチェックリストに該当項目があり, 残りの8名は意識障害のため評価困難であった。COVID-19を疑う症状に乏しくても, チェックリストによるスクリーニングで検査前確率を上げる努力を行いながら, 大流行期ではその項目を評価できない患者に対してより積極的にPCR・抗原検査を行うことが感染対策上で重要である。