生命倫理
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遷延性意識障害者への看護の姿勢にみる生命倫理上の問題点 : 看護学生のVTR鑑賞後のレポート分析から(第8回日本生命倫理学会年次大会セッション「生命倫理教育」)
内田 宏美
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1997 年 7 巻 1 号 p. 89-94

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抄録
1994〜1996年度の国立K医療短大看護学科2回生延べ233名の、「あなたの声が聞きたいpartll」と「尊厳死を求めた家族の記録」のVTR鑑賞後のレポートから、対象の人間観・生命観と生命倫理上の問題を分析した。遷延性意識障害者へのケア選択の姿勢から、対象群には命のかけがえのなさや生存の権利を主張する生命尊重派に対して、自己決定の優先性を主張する意志尊重派がやや優勢な傾向がみられた。さらに、自分と家族の場合でのケア選択を比較すると、両派とも同レベルで自分には尊厳死を求める傾向を示し、意志尊重派では家族にも尊厳死を求める傾向がみられた。このことから、生命観の如何に関わらず、意志の捉え方に多様性がなく、無意識に、人間性をもつ人格だけを尊重するパーソン論の立場をとっている可能性が示唆された。以上より、医療者として自己の生命観・人間観を意識化することが重要だと考える。
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1997 日本生命倫理学会
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