動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
原著論文
飼育下アジアゾウの自動給餌機導入による効果の検証
金澤 朋子西村 直也半澤 紗由里安藤 正人庄子 泰之先崎 優村田 浩一
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2020 年 56 巻 2 号 p. 63-70

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抄録

飼育下アジアゾウに対して、飼育担当者が不在となる時間帯(17時~翌朝8時)での、採食エンリッチメントの導入を検討するため、横浜市立金沢動物園で飼育管理されている個体を対象に、無人で給餌可能な装置(自動給餌機)の効果を、行動学的手法により検証した。自動給餌機は、作動すると獣舎前にチェーンで吊るされた枝葉が給餌されるものを自作した。試験は、夜間帯(18時台~20時台)と早朝帯(5時台~7時台)の間に1回ずつ、自動給餌機が決められた時間に作動する試験1と、日ごとに時間を変えて作動する試験2を実施した。両試験ともに、夜間帯においては効果が認められなかったが、早朝帯においては行動時間量が採食で増加し、常同行動では減少が確認され、自動給餌機の効果が示された。また夜間帯においては、自動給餌機の作動時刻が遅くなるほど効果がなく、自動給餌機をより効果的に活用するためには、作動時刻や回数を改善する必要があると考えられた。

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