2017 年 26 巻 1 号 p. 1-6
ブリーフサイコセラピーの原点には,「問うこと」がある。「ポジティビティ」そして「プラグマティック」というブリーフサイコセラピーの特徴は,様々な現代のセラピーを支える比喩的な意味でのオペレーティングシステムとして存在すると考えられる。次に現代の私たちに降りかかる諸「問題」と対峙するセラピーとしてのブリーフサイコセラピーを考察する。例えば,臓器移植をめぐる難問は,限られた時間の中で自らの,そして周囲の人々の人生を左右する選択を迫ることがある。このような「問題」に応えるのはやはり「限られた時間内の問い」であろう。ブリーフサイコセラピストはその質問の特徴を活用して,専門家であるクライエントに専門家として本領を発揮することを援助する。さらにブリーフサイコセラピーの言葉の特徴を検討することが必要である。