本稿では,ブリーフセラピーにおいて時間概念のとらえ方が多様化している現状についてまず取り上げた。その後,「リアルな時間」と「アクチュアルな時間」の区別を介して,時間意識の観察について論じた。次に,時間を観察するという立場に立つニクラス・ルーマンの歴史社会学に関する理論に言及した。ルーマンの技法から時間区分を9つに分類し,その臨床実践における活用可能性について検討した。結果として,そのような時間についての枠組みを用いることで,これまで取り上げづらかった実践の細部に注目できること,また現実化していない可能的時間への言及が新たな意味生成の契機となりうることについて論じた。