抄録
【目的】本研究の目的は,ICUに入室した患者の集中治療体験を類型化し,集中治療体験と不安・抑うつの関連を明らかにすることである.
【研究デザイン】記述相関関係的デザイン.
【方法】対象は,一施設の二つのICU48時間以上在室した患者で,挿管,人工呼吸療法を行った成人患201名である.Intensive Care Experience Questionnaire(ICEQ)を用いた構造化面接と,Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)を用いた自己記入式質問紙調査を行った.ICEQの因子得点を用いた階層的クラスター分析を行い,集中治療体験を類型化し,HADSとの関連を検討した.
【結果】集中治療体験は【現状が把握できており怖い体験ではなかった】,【怖くはないが記憶があいまい】,【記憶がない】,【怖い体験かつ記憶があいまい】の4つに類型化された.【怖い体験かつ記憶があいまい】群が全体の17.9%を占め,臨床的に問題となる不安,抑うつ症状を有す割合が有意に高かった.
【結論】【怖い体験かつ記憶があいまい】群がその後のPTSD発症に関与するかを縦断調査で検証することが必要である.