【研究目的】個別的かつ予測的な苦痛緩和への示唆を得るために術後疼痛の経時的変化と個人特性による影響を明らかにした.
【研究方法】開腹術目的で消化器外科に入院した患者47名の患者特性と手術特性を説明変数,術直後から翌日就眠時までの8時点の疼痛スケール(NRS)を目的変数とする多変量解析を行った.
【結果】対象者は,女性20名(42.6%),男性27名(57.4%),平均年齢67.4歳,33人(70.2%)に同居者がおり,半数以上に術後のリスク要因があった.平均手術時間は213.6分,14名(29.8%)が通常より多い術後ルートが長期間挿入された.術後4時間が疼痛のピークで(p=0.0083),65歳未満(p=0.0771),独居者(p=0.047),手術時間の延長(p=0.0219),術後ルート類が多い患者(p=0.0722)の術後疼痛が強い傾向にあった.
【考察】個別的な術前情報が術後疼痛に影響することを意識したかかわりが術後疼痛への予測的アプローチには重要である.