2023 年 19 巻 p. 144-156
本研究は,消化器外科手術における周術期各期の特徴を踏まえた看護実践を明らかにすることを目的とした.研究デザインは質的記述的研究.術後回復を評価するQoR-40Jの安寧,感情,身体機能,患者援助,痛みの5 要素を参考に,看護師5名に半構造化面接を行った.結果には術前の「周術期全般の不安緩和」「主体的な術後行動への患者教育」を含む5カテゴリー,術直後~1日目の「術後不快感の理解と安楽の提供」「術後疼痛の軽減」「早期離床援助と活動拡大への見極め」を含む7カテゴリー,術後2~3日目の「ADL自立を患者自ら目指す離床援助」「継続的な術後疼痛管理」を含む6カテゴリー,術後5~6日の「継続的な心理サポート」「生活をイメージした患者中心の退院支援」を含む5カテゴリーが抽出された.術後回復促進の看護実践は,実践知の蓄積や個別性の尊重,安全管理や連携強化により更なる向上が見込めると考える.