日本クリティカルケア看護学会誌
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総説
クリティカルケアにおける患者の家族のニード
―我が国における研究の動向―
高橋 美奈子小林 優子
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2006 年 2 巻 2 号 p. 84-88

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抄録

本研究では,我が国におけるクリティカルな状況にある患者の家族のニードに関する研究の動向を知り,今後の研究課題を明らかにすることを目的とした.過去 15 年間(1990~2005 年)で 68 件の文献が抽出され,そのうち原著論文 40 件を対象に研究の動向を検討した.その結果,研究数は,2002 年以降急激に増加していた.研究場所は ICU が多く,緊急入院という状況の研究が多かった.逆に,予定手術を扱った研究は少なかった.介入後のニードの変化や介入に対する評価の研究では,対照群を設定するデザインの研究は半数であり,介入の評価を正確に行うためには,対照群を設定した研究を進めていくことが必要である.家族のニードの把握を目的とした研究が多く見られ,使用されていた測定ツールは,Molter のニード項目のうち,日本人の文化・習慣などになじまない内容を除去して用いた研究が多かった.我が国における測定ツールの開発は山勢らによる CNS-FACE があり,これを用いた研究は 1 件あった.日本独自の測定ツールの必要性,CNS-FACE の有用性を検討していく必要性が示唆された.さまざまなツールが用いられることで,結果の比較はしにくかったが,今後共通したツールを用いることにより,他の研究で得られた結果との比較が可能であると考えられる.

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© 2006 日本クリティカルケア看護学会
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