2002 年 22 巻 3 号 p. 324-328
進行した歯周疾患における持続的な咬合荷重は, フレアーアウトなどの歯の病的移動を生じさせ, さらに, 咬合による外傷性ストレスは時間の経過に従い歯の.支持組織の破壊を進行させる.このような病態は, 歯周-咬合コンプレックス (periodontal-occlusal complex; POC) という概念でとらえられている.一方, 早期発症型歯周炎 (early-onset periodontitis; EOP) は早期の歯周炎発症と急速な病態の進行を特徴とする疾患であり, その治療は病原因子の除去が最優先される.しかし, EOPは成人性歯周炎 (adult periodontitis; AP) と比較して, 咬合性外傷による病態の進行が急激であると考えられることから, 積極的な咬合改善が必要であると考える.そこで, fi症例におけるEOP患者に対し, バーチカル・ストッフ.の確保およびアンテリア・ガイダンスの確立を目的として, 矯正処置と歯の固定を行い咬合を改善した後, 感染源の除去および再生療法を行ったので, その治療経過を報告する.