日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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GBR部骨質がインプラント周囲骨へ及ぼす力学的影響
―三次元有限要素解析を用いた考察―
河原 優一郎
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キーワード: 骨質, 母床骨, 有限要素解析
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2007 年 27 巻 3 号 p. 286-292

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抄録

インプラント治療において, 歯槽骨の吸収が著しい症例ではGBRが多用される.しかし, 骨に置換したGBR部の骨質についての報告は少ない, 今回, CT値から不均質な臨床的下顎骨臼歯部骨欠損モデルを作成し, GBR部の骨質をMischの骨質分類であるD1からD4へ変え, また埋入フィクスチャーの太さを変えて, インプラントが周囲骨へ及ぼす力学的影響について有限.要.素解析をおこなった.
結果, 考察および結論: GBR部の骨質が硬いほど最大ミーゼス応力が小さくなった.とくに骨質がD2以上では, フィクスチャーの太さによらず一定傾向になった.またフィクスチャーが太いほど最大ミーゼス応力が小さくなった.とくにフィクスチャーがある一定以上に太くなると, 最大ミーゼス応力はGBR部の骨質に関係なく一定傾向になった.また最大ミーゼス応力の発生位置は, 骨質がD1, D2の場合, インプラント周囲表層歯槽骨に位置し, D3からD4に従い, GBRと母床骨との境界付近へ移動した.またGBR部骨質は, 単純に硬ければ良いというのではなく, 母床骨との調和が重要であることが示唆された.

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