日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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ハイドロキシアパタイトインプラントの上部構造体装着後の経過に関与する臨床的要因の検討
藤野 茂
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2008 年 28 巻 4 号 p. 194-199

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抄録

本研究では, ハイドロキシアパタイト.インブラント治療の経過不良を減少させるためにHAインプラントの上部構造体装着後の経過と種々の臨床的要因との関連性を検討した.調査対象は, 国内の1施設においてHAインプラント体埋入後上部構造体を装着し, 5-14年間経過した患者181名である.調査対象インブラント体は566本で, 上部構造体装着後の臨床調査期間に, 脱落または骨吸収が発生したインプラント症例は33名で54本 (9.5%) であった.また, 問題発生の認められなかった経過良好患者は148名で512本 (90.5%) であった.臨床的要因の評価は上部構造体装着時点, インプラント体の評価は上部構造体装着時, および経過観察期間の定期診査時点で行った.HAインプラントの経過に関与すると考えられる種々の臨床要因がHAインプラント治療の上部構造体装着後の経過の指標に成り得るか否かについて, 定めたインプラント治療の臨床的判定項目を基準として検討し, 以下の結論を得た.
HAインプラントの経過と関連性が認められた臨床的要因は, オッズ比の検討から残存歯のBOP率25%以上, 残存歯のPD値6mm以上部位の存在, 根分岐部病変の存在, 歯槽骨吸収率が50%以上, インプラント体の直径3.25mm, 長径8mmであった.検討した臨床的要因の大部分である上記以外の要因は, HAインプラントの予後経過との関連性が認められなかった.これらの臨床的要因は, HAインプラントの経過の予知に有効であることが示唆された.

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