2008 年 28 巻 4 号 p. 200-207
インプラントを主体とするブリッジにて補綴を考える場合, できるだけ自分の歯を残したいという患者の希望を受け入れることにより, 少数残存歯とインプラントが混在する歯列となり, 補綴設計に苦慮することが多い.このようなケースに対して, エレクトロフォーミングとハイブリッドセラミックスを併用したブリッジにて対応し良好な結果が得られたので報告する.
患者は52歳女性で, 上顎前歯ブリッジの動揺と上顎臼歯欠損部へのインプラント治療を希望して来院した.初診時診査より上顎における保存可能な歯は14, 12, 23と診断.そこで17, 15, 11, 22, 24, 26, 27部インプラントと残存歯を支台とするエレクトロフォーミングとハイブリッドセラミックスを併用した術者可徹式ブリッジにより補綴治療を行った.現在治療終了後2年を経過しているにすぎないが, 良好な結果が得られている.この方法はロングスパンの症例においても精度の高い補綴物を製作できることが最大の利点と思われるが, 今回のような天然歯とインプラントが混在する症例に対しても有効な方法であると思われる.