1987 年 1987 巻 26 号 p. 17-33
日本時事英語学会は過去3年間にわたり、アメリカの新聞雑誌に代表されるマスメディァがますます激化の様相を呈している経済、防衛といった分野での日米摩擦をどのように報道しているかについて、多角的な共同研究を行なってきた。この共同研究の一環として、筆者は過去10年間にわたってアメリカの新聞雑誌に掲載された政治・社説漫画で日米経済摩擦がどのように描かれ、政治・社説漫画というメディアを通して日本のイメージがいかに伝えられているかに焦点をあてて、アメリカのマスメディアにみられる漫画レトリックの本質を解明する研究を行なった。本稿でその研究成果を報告したい。本論に入る前に、まずアメリカの新聞雑誌における政治漫画の位置づけを明らかにして、次に政治漫画を対象としたこれまでの研究を素描して、本研究の基本的な枠組みを設定したい。