2016 年 19 巻 1 号 p. 14-23
目的:60歳代祖母による就学前の孫の日常的な世話の状況の把握と疲労との関連を明らかにすることである.
方法:60歳代女性2,553人を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,対象者の属性,孫の世話の状況,蓄積的疲労徴候調査(以下,CFSIの8特性)であった.対象者を,「日常的な世話なし群」と「孫の日常的な世話あり群(祖母)」の世話の状況別に,属性とCFSIの8特性の比較分析を行った.次に,孫の日常的な世話あり群(祖母)のCFSIの8特性に関連する要因の検討を単変量解析で検討した.
結果:回収率は36.5%(932人)であり,孫が誕生している者は46.2%(431/932人),就学前の孫の日常的な世話をする者24.8%(231/932人)であった.孫の世話の状況別による対象者の属性,CFSIの8特性に有意な差はなかった.孫の日常的な世話あり群(祖母)のCFSIの8特性は,就労,腰痛,定期的外出,健康意識,世話の動機,育児方針の違い,世話による負担,世話をしている年数などと有意な差がみられた.
結論:祖母が孫の世話を継続していくためには,世話による負担への具体的支援の検討と,腰痛等の持病の改善と健康意識の向上に向けた支援の必要性が示唆された.