2016 年 19 巻 2 号 p. 4-11
目的:地域在住高齢者の社会活動を定量化するための尺度「地域高齢者社会活動尺度」を開発し,その尺度の信頼性,妥当性を検証する.
方法:対象は,関東圏A市B区の65歳以上の住民のうち,住民基本台帳に基づき1/2無作為抽出された2,928人である.文献レビューにより「地域高齢者社会活動尺度」暫定版を作成のうえ,無記名自記式質問紙調査(郵送法)を実施し,項目分析,因子分析を経て確定版を開発し,その信頼性と妥当性を検証した.
結果:有効回答者は906人(有効回答率87.1%)であり,平均年齢は72.3(SD=±5.9)歳,男性484人(53.5%),女性422人(46.5%)であった.分析の結果,「地域高齢者社会活動尺度」は2因子[地域への寄与][自己の啓発]6項目,最小6.0点~最大18.0点からなる尺度が開発され,確証的因子分析の結果,GFI=0.992,AGFI=0.987,CFI=0.988,RMSEA=0.026であった.また尺度全体のクロンバックα係数は0.78であり,PGCモラールスケール得点,外出頻度等との間に有意な相関が認められた.
考察:「地域高齢者社会活動尺度」は信頼性・妥当性を有した地域在住高齢者の社会活動を評価する有用な尺度である.