2016 年 19 巻 2 号 p. 49-57
養護教諭を目指す学生のソーシャル・キャピタル(以下,SC)と,ボランティア活動との関係を明らかにすることを目的とし,SCの醸成を考慮した基礎教育について検討した.対象は,全国の養護教諭を養成する課程のある大学のうち,21校の最終学年または養護教諭特別別科の学生726人とし,SCとボランティア活動の経験に関する質問紙調査を行った.その結果,認知的および構造的SCは,ボランティア活動との関係が異なっており,認知的SCは,大学生の時期の自主的および,授業の一環としての活動との関連性が示された.構造的SCは,大学生の時期における自主的な活動形態,さらに自主的で,人を対象とした活動内容との関連性が示された.また,認知的SCと居住年数,構造的SCと所属学部,居住年数,出身地域,現在の居住地域との関連性が示された.多様な人と触れ合い,主体的に協働していくことを特徴とするボランティア活動が,SCと関連している可能性が示された.