コミュニティ政策
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特集論文
住民自治とNPO、そして自治体の新たな関係
林 泰義
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2008 年 6 巻 p. 52-75

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抄録

NPO法施行から10年、3万5千を数えるNPOが登場し、日本の市民活動は大きく成長した。
にもかかわらず、NPOの活動は、必ずしも順調に展開しているわけではなく、これを支える社会的仕組みは未熟であり、法制度もまた改善を要する点が少なくない。しかし、本論文では、住民自治とNPOを巡る制度面を論じるつもりはない。コミュニティの現場に登場したNPOが、かけがえのない役割を担う事例を取りあげ、NPOが住民自治を支えている現状を考察する。
コミュニティの現場としては、第一に、破綻に直面するコミュニティをとりあげる。対照的なケースとして、離島の小自治体と大都市の衰退地域が対象である。第2は、大都市自治体が市民自発の活動をひきだしている “まちづくりフィールド” の事例である。
破綻に直面するコミュニティでは、事業型NPOが中心的役割を担うが、大都市の “まちづくりフィールド” では、ボランティア型NPOが中心的役割を担う。コミュニティとNPOの関係の考察から、NPOを支える社会的地層 (レイヤー) と名付ける仮説的概念を設定し、住民自治に対してNPOが生みだす可能性とレイヤーの働きを探る。

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