抄録
本研究は,公認心理師の専門業務の実践力の自己評価と心理臨床経験年数,メンタルヘルス,ワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにすることを目的に,公認心理師有資格者を対象に,無記名式のweb 調査を実施した。回答のあった105 名のうち103 名を分析対象とした。心理臨床経験年数により,専門業務の実践力の認識に有意な差がみられ,経験年数が長い群ほど高い得点を示した。またメンタルヘルスについては,平均値に有意な群間差はみられなかったが,探索的な検討の結果,心理臨床経験年数1 年未満の群で,重症精神疾患相当とされる得点者の割合が有意に高かった。さらに,実践力の認識総合得点を算出し,上位25%と下位25%の2 群に分割して比較した結果,実践力高群は,ワーク・エンゲイジメントの3 下位尺度(活力・熱意・没頭)のすべてで有意に得点が高く,メンタルヘルスも有意に良好な傾向がみられた。これらの結果は,公認心理師の専門業務における実践力の自己評価が心理臨床経験の蓄積によって発達し,メンタルヘルスやワーク・エンゲイジメントといった心理的要因とも関連していることを示唆するものである。