抄録
本研究は,自衛隊員の援助要請意図の向上を企図した体験カウンセリングについて有効性を検証し,また,援助要請意図の向上と関連する体験カウンセリングの評価内容の検討を目的とした。ある基地の自衛隊員に対し,相談の有無にかかわらず,相談室やカウンセラーを紹介する目的で体験カウンセリングを提供した。実施前,実施後および1か月後にかけて,実施群46名と統制群48名の回答を収集した。強く気分が落ち込んだ際の援助要請意図を目的変数とし,線形混合モデルにより解析した結果,時点と群との交互作用項は,実施後と実施1か月後の両方が有意であり,体験カウンセリングの有効性が示された。また,実施群の回答だけを対象とした相関分析の結果,援助要請意図の変化には,カウンセラーが関心を示して話を聞いてくれたという評価や,体験カウンセリングの意図を理解できたという評価が,有意な正の相関を示した。本研究はランダム化比較試験を行っておらず,因果効果の検証は今後の課題であるが,援助要請意図の向上に対する体験カウンセリングの有効性と,向上に関連する評価内容を明らかにした研究であり,援助要請意図の向上を目的とした実践に資する意義があろう。