日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
人工気胸術後53年経過して発症し, 皮下・横隔膜下に進展した胸腔内chronic expanding hematomaの一例
喜夛村 次郎大久保 憲一五十部 潤上野 陽一郎
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2005 年 19 巻 2 号 p. 141-144

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抄録

症例は72歳女性. 53年前, 左肺結核に対し人工気胸術をうけた. 3ヵ月前から左側胸壁が腫脹し, 皮膚瘻を生じた. 画像上, 病変は左下胸腔内に充満, 横隔膜を圧排し胸壁外に突出していた. 結核性膿胸, 悪性腫瘍が疑われたが, 菌培養, 経皮生検とも陰性であった. 慢性出血性膿胸の診断にて開胸術を行うと, 長径24cm, 3000gの繊維性被膜を伴う充実性腫瘤が横隔膜を越え後腹膜腔内に達していた. 横隔膜とともに被膜ごと血腫を摘出し, ポリプロピレンメッシュにて横隔膜を再建して閉胸した. 術後の再発は認められていない.

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© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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