日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡で切除しえた胸腔内脂肪肉腫の一例
藤原 謙次加藤 雅人中垣 充
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キーワード: 脂肪肉腫, 胸腔鏡
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2005 年 19 巻 7 号 p. 833-836

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抄録

脂肪肉腫は胸部に発生することが少なく, 発生した場合も縦隔由来が大部分を占めるが, 今回われわれは, 胸腔内に存在し下肺靭帯周囲の脂肪織由来の脂肪肉腫と診断された一例を経験したので報告する.
症例は48歳, 男性. 2年前胸部X線写真にて左下肺野の異常陰影を指摘されるも, 自覚症状がない為放置されていた. 前医を再受診時に増大傾向を認めた為, 精査目的に当院紹介入院となった. CT, MRIにて左横隔膜上に最大径10cmの腫瘍を認め, 内部は均一な脂肪組織のintensityであり, 脂肪腫と診断された. 腫瘍が大きく, 増大傾向を認めたことより手術適応と判断し, 胸腔鏡下に手術を施行. 横隔膜直上に被包化された腫瘍を認め, 下肺靭帯と連続していたため同部より発生したと考えられた. 病理検査では分化型脂肪肉腫 (脂肪腫類似型) と診断された.
本症例のように術前の画像で脂肪腫が疑われても, 大きさが5cmを超える場合, 稀ではあるが脂肪肉腫の可能性もあり積極的切除が望まれる.

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